飛行船の歴史と最新動向 LTA Pathfinderを参考に

はじめに

IEEE SpectrumでLTA社のPathfinderの記事を読んだ。
最新技術で作られた飛行船ということでTop Tech 2023の一つで紹介されている。
飛行船や気球など、最近は通信プラットフォームや情報収集目的で注目されているご時世なので、どんなものか中身を読んだ。

LTA(Lighter Than Air) Pathfinder: 何が20世紀と違うのか?

やはりヒンデンブルク号などと比べると、サイズのわりにペイロードが大きい。
全長120mで直径20m、これでペイロードが4tあるというのは、おそらくガスの容量は8倍(全長245m直径41m(wikipediaより)だから全長2倍、断面積4倍)だったヒンデンブルク号が2倍程度のペイロードだった(100人余りの定員、エレベータだったら1人65kgで計算するから、7tくらい?)だったわけだからすごく軽くなっているのだろう。
ここにはカーボンファイバーの活用や、外皮の材質などの進化が大きく寄与しているようだ。

浮力調整も21世紀らしくLiDARを活用している。ヘリウムガスで満たされた13個の部屋で成り立っているが、この体積をLiDARで監視している。これで機体のバランスを自由に調整できるようになっている。
そのほか技術詳細はLTA社のTechnologyページを参照。スペックシートはなく、技術紹介が中心になっているあたり、2023年中に実際に飛ばすまでは決まらない、ということなのだろう。

まとめ LTAの目指すもの、そして気球や飛行船の未来は

最近(といっても20年余りだが)の飛行船の動向、特に自分の興味のある鉱山関連で言えば、デビアスが地下資源探査に使ったことがある。この時のメリットは、飛行中の振動がない(ヘリコプターでは振動が大きく使えない機材も、活用ができる)という話だった。
LTA社は、当面は人道支援にフォーカスを据え、将来的には電動によるゼロエミッションを生かして海上輸送と飛行機による輸送の中間を狙うようだ。最新技術はゼロエミッション・軽量化によるペイロード増にメリットがあるのだから、技術目線で見るととても妥当だ。
また、人道支援用としては着陸を要求しない(地面の状態に左右されない)ところがメリットとされている。ハリケーンが去った後のテキサス州(一面にわたって水没している様子をニュースで見る)あたりを想像するに実需は大きそうだ。
あえて懸念を書けばIEEEの記事やホームページを見ても、航続距離に関する情報があまりないことだろうか?ここは電動駆動・まわりの風次第なあたりが影響していて、実際に飛ぶまで確証がないのかもしれない。
成層圏プラットフォームなど気球や飛行船は大きく注目を集める技術分野になってきていると思う。引き続きどんな技術があるのか、それがどう生かされるのか最新動向を追っていきたい。また鉱山関連で用途が出てくるかもしれない。

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